東京実験二〇一八(1)~「アホ」なこと続ける~

ブリードルーム

「イノベーションはガラクタから生まれる」

このフレーズは『京大的アホがなぜ必要か~カオスな世界の生存』という本にある。現代は樹形図型と呼ばれる理論的思考を重視する。しかし、多くのブレークスルーは、ミスやガラクタだと思っていた知識や結果から生まれている。クワカブ研究所は生態を深く知るために「アホ」なアプローチを始めている。

「東京(マンション)実験」と呼ぶ普段のブリードでは、できないこと、過酷なこと、ありえないことを別ラインで行っている。昨年のペアリングは羽化割出を終え、サンプル数が少ないながら、結果が出ている。

【ペア】オオクワガタ、正常なオス×右後肢がないメス
【疑問点Ⅰ】後肢の一部が欠けているメスはペアリングできないのか?
【結果】幼虫19頭。成功しないことはない。
【疑問点Ⅱ】肢、フセツ、ツメの欠損は遺伝しないか

羽化17頭、羽化率89.5%、奇形、羽化不全はなし。

チェックは一頭一頭をマクロレンズで撮影をしながら地道に検査した。チェックポイントは後肢、フセツ、ツメの欠損の有無だ。その他の検査ポイントは左右の対称性と羽の異常だが、いずれも問題なしと判定できた。

オオクワガタの実験は1年越しの取組みのため時にうっかり忘れもある。親虫はすでに死亡して撮影できない。そう言うアホは求めているものでない。ルーチン業務の傍らでやっている東京実験は、種虫の撮影など時間がかかる事を後回しにしてしまう。これからは面倒くさがらずやろう…。(吉虫)

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