カッコ良かったあの雄姿をいつまでも残したい、眺めていたい。そんな想いを形にするのは「ジオラマ標本」がお勧めです。大切に育てた虫達をカッコいい姿のまま残せれば、虫に対しての愛着も深まり皆に自慢したくなるほどです。
でも動きがある形にするのは大変そう、、、。
そんなふうに思われがちですが、実は普通の標本とほとんど変わりなく作る事が出来るんです。そう、「乾燥させるだけ」で大丈夫!特別な薬品や道具の用意はいりません。このページでは月夜野流のジオラマ標本のかんたんな3ステップでご紹介します!
~ジオラマ標本作りの3つのステップ~
ステップ①「カチカチに固まった昆虫をほぐす(軟化)
ステップ②「形を整える(展足)」
ステップ③「容器に入れ飾り付ける」
お亡くなりになってしまった昆虫は固く乾燥しているか、お亡くなりからあまり時間の経っていないものが良いです。 また、体がグニャグニャするものは腐敗防止の為にも一旦乾燥させてからの方が扱い易いです。
今回は乾燥して体が固くなっているものを用意しています。
~用意する物~
① 発泡スチロール、針が刺せて加工が簡単です。
② 固定用の針、マチ針でもOK
③ 使い古した歯ブラシ
④ 木工用ボンド(足が取れたりした場合の修復用)
⑤ カッター(発泡スチロールの加工用)
⑥ 有れば便利、ピンセットや先の細長い物、竹串や楊枝
まずは昆虫を洗いましょう!
お亡くなり後、そのままの状態で乾燥していますので、体に付いたオガやゴミを水で洗い流し、歯ブラシなどでキレイに汚れを取り除きます。
汚れを落としたら次に50~60度のお湯に漬けます。 (熱湯に入れてしまうと眼が白くなってしまいますのでご注意!)。昆虫の乾燥具合で柔らかくなる時間が変わってきますが、30分~1時間位で柔らかくなってきます。
足の先端の方から柔らかくなってきますので昆虫の足を動かしながら確認していってください。 まだ固いようであればさらに漬けてください。
足がだいたい動かせるようになったらお湯から引き揚げます。
今回は大空を飛びまわっていような動きをつけたいので羽(翅)を広げていきます。
針の先で背羽のスジをなぞって隙間を探します。指が引っ掛けられたら少し持ち上げながら横に広げます。
最初は固いですが、羽の根元で閉じている時にハマっていた所がカチっと外れます。
両方の羽を広げましょう。
内側の薄い羽も一旦広げます。
用途に合わせて発泡スチロールを切っておきます。
針で2ヵ所以上固定します。(今回は3ヵ所を固定)
1ヵ所だけですと、発泡スチロールが回転して虫の固定が難しくなってしまいます。
そこに虫を乗せます。
少し動かないようにお尻を針で軽く固定します。
両方の内羽を広げます。閉じていた羽を広げておき、閉じていた時のクセをほぐします。このままで完成でも良いみたいですね。
中足を整えます。羽の固定をしてからだと固定した発泡スチロールが邪魔をして整え難くなります。
広げてあった内羽を一旦よけて、脇に羽を固定するための発泡スチロールを針で固定します。(2ヵ所以上)発泡スチロールの角度は虫に合わせてやると羽が奇麗に固定しやすくなります。
羽を乗っけて上から発泡スチロールで挟み、針で固定します。
羽を貫通させないように注意します。
両方の内羽を挟んで固定して、外羽は針で持ち上げながら広げて、針を脇の発泡スチロールに刺して固定します。
後ろ足、前足、触角の順で整えていきます。昆虫針での体の固定が無いので大きな部分を固定してから、細かい部分を整えていきます。すでに良い感じに固まっている部分は針での固定はしません。整って乾燥さえできればそれでOK!
乾燥する際は風通しの良い日陰で干してください。もともとの昆虫の乾燥具合にもよりますが、2週間~1ヵ月が目安です(大きいものだと1ヵ月以上かかる場合もございます)。 また乾燥期間中に少しずれたりすることもありますので時々チェックして微調整しましょう。
しっかり乾燥が出来たら台座に固定していきます。
虫を置く台座に今回はエサ皿をひっくり返して使います。
良く乾燥させた虫を発泡スチロールなどで支えます。角度はお好みです。
後ろ足や中足に木工用ボンド塗って1日程度で接着します。
支えていた発泡スチロールをはずしても倒れなければ接着OKです。
用意する物
・ラップ
・今回はクリーンケースssサイズ(クリーンケースはフタの上からも良く見えます)
・造花や草(作り物)
・台座に固定出来た標本
ケース内に標本を入れて、周りを草(作り物)で飾ります。
機密性を高めるためケースとフタの間にラップを貼ります。
余分なラップを切り取って出来上がり!
ケース内には防虫剤を入れる事をお勧めします。
防虫剤はうまく隠れるように工夫すると臨場感を損ないません。
今回は台座がエサ皿ですので、裏の窪みに入れられそうです。
ジオラマ標本の完成です。
その他さまざまな種類や格好で作ってもいいですね!
クワガタの飛んでいる物や、立ち姿もカッコいいですよ。
ステップ①「カチコチに固まった昆虫をほぐす(軟化)
・昆虫は歯ブラシなどで水洗いする。
・50~60度のお湯に30分~1時間位漬けこみます。
・関節の動き具合で確認し、固いようならさらに漬けこむ。
ステップ②「形を整える(展足)」
・虫を乗せたり羽を広げて固定出来るように用途に合わせて発泡スチロールを切っておきます。
・土台にする発泡スチロールが邪魔にならないように順番を決めてから整えていきます。
・昆虫針で体を固定していないので、大きな部分から最後に細かな部分を整えます。
・乾燥期間の目安は体長60mm以下の物なら3週間、70mm位のもので1ヵ月、80~150mmなどのものは3ヵ月以上かかる場合もあります。元々の扱う昆虫の乾燥具合にもよりますので確認しながら乾燥させて下さい。
・体が乾燥して固まったら、樹皮や木に乗せて支えなど利用してお好みのセッティングをして木工用ボンドで固定します。約1日して支えをはずしても形が崩れなければOK。
ステップ③「容器に入れ飾り付ける」
・台座に固定された標本をケースに入れ標本の周りを造花や草(作り物)で飾っていきます。
・ケースの機密性を高めるため、フタと容器の間にラップを貼りつけ、ケースフタを閉じます。防虫剤も上手く隠れるように入れる事をお勧めいたします。
・ケースからはみ出たラップはフタを閉じてからカッターで切り取って下さい。
【ポイント】
・基本的にルールは無く最終的にどのようなセッティングにするかをイメージしながら形を整えて行って下さい。2頭で戦わせたり、人のように立たせてみても楽しいと思います。プラモデルやフィギアとの共演も有りではないでしょうか。
・アイデア次第で可能性は無限大です!