【スマトラの夢】クワカブジオラマ写真コンテスト:エントリーNO10

第8回ジオラマ写真コンテスト

より自然の中で普段通りに過ごす姿を表現した作品です!

作品タイトル『スマトラの夢』

作品ストーリー

紀行文テイストで世界観を表現してみました。

○世界中でコロナが流行する以前の事。
友人のミスでラコダールツヤクワガタを手に入れ損ねた私達は、これを言い訳にして現地スマトラ島に採集しに来る事がやっと叶った。

人生で初めての国外での現地採集は、刺激的で目紛しく、あっという間に時間は過ぎていった。と共に、ラコダール以外の昆虫を沢山目にする事ができた私達はそれなりには満足し始めていた…。

最終日の夜、なんとなく寝付けない私は友人を起こさないようコソっと宿を出た。宿の裏手すぐにジャングルがあり、整備なぞされていない為、灯りを持って出た。灯りを持って出た訳はそれだけではない。満足したと思っていたが未練がくすぶっていた。

こっそりとジャングルの入り口から奥を照らすと、生命感溢れる茂みが揺れていた。

その奥の奥、そのまた奥を見たい。夜の青々とした木々の中をゆっくりと歩き始めて少し、暗がりに橙色が見えた。湿度の高い空気を切り分け、慎重にその方角へ灯りを向けたその先、鮮やかな上翅のラコダールがいた。これを見に来たのだと私は思った。

応募作品

作成者コメント

私は標本を作る上で、「より自然の中で普段通りに過ごす姿」を復元したいという願望があります。6本の足をどういう順序で運びながら歩くのか。触覚の揺れで感じ取っているものは何なのか。その真っ黒な眼球はどこを見ているのか。

「生命感」を人為的に作り出すには、深い知識と多くの経験、想像力と発想力、高い技術とセンスが必要になります。樹木の起伏に合わせた足の位置、波状歩行の脚を浮かす順番、温度や湿度、太陽や月の位置と明るさ、樹液の場所、メスのフェロモン、天敵である鳥の存在。一つの昆虫を取り囲む壮大な環境を一つの亡骸から表現するには、まだまだ必要なものが足りないと実感させられるばかりです。
細かな整合性を組み合わせ、一つずつ違和感を消していくことによって「より自然の中で普段通りに過ごす姿」を表現できていればと思います。

作成者プロフィール


投稿者:ムシカさん

ジオラマ歴:甲虫のライブ標本や野生動物の骨格標本、キノコや植物の乾燥標本、水生生物の液浸標本などの作成、保存をしております。

クワカブ飼育採集歴:飼育経験は浅くまだまだ素人です。ノコギリクワガタを産卵させた事をきっかけにブリードを始めました。今はニジイロ、ダイオウヒラタ、サンギレンシス、ババなどを飼育しています。採集経験も近所の雑木林を歩いて回る程度ですが少しづつ行動範囲を広げていければ良いなと考えています。

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