東京実験第2弾は、オオクワガタのアゴ奇形が遺伝するかである。親虫は昨年の記事で「カッコいい奇形」として紹介した、内歯が外に2本突き出ている個体だ。このオスはアゴに奇形のないメスと交尾をさせた。産まれた子は、一見すると正常に見えたが、写真で比較すると左右のアゴに差異が見付かった。
【実験】アゴの奇形は遺伝するのか?
【サンプル】アゴに奇形を持つオス(1頭)×羽が少し飛び出たメス(2頭)
【羽化】オス2頭、メス2頭(羽化不全なし)
【結果】別々のメスから生まれたオス2頭はどちらもアゴの長さが左右で違った。父親は裏返した時に右のアゴに奇形があり短かった。産まれた2頭のオスは、逆に左のアゴが短かった。父親の内歯の形状遺伝はどちらにも認められなかった。
親からの遺伝は非対称な子らにあったと言いたが、現段階で言いきれない。その理由はサンプル数が少なく、他の要因を否定できないこと、もう一つはアゴの異常を認められるが、違う箇所と形状で出ていることだ。過去記事の「知的好奇心を掻き立てる形状遺伝へファーストアプローチ」で形状遺伝の調査をした際、父親の形状は大腮でなく、前頭から下翅に現れていた。メスからの遺伝も現段階で排除できない。
遺伝に関するお題は確率論でもあるので、引き続き累代させ、サンプル数を増やした先に、はっきりとした形で見えるか否かにかかっている。実験は忍耐力である。(吉虫)