生死は一体

ブリードルーム

月夜野きのこ園ブリードルームでは、月夜野きのこ園での昆虫の飼育や産卵などについてを発信していきたいと思います。第17回は生死は一体 についてです。

幼虫達との対面

「こんにちは」
菌糸ビン交換の醍醐味は日常的に顔を見えない幼虫達との対面かもしれない。動きを見たり、色艶を見たり、サイズを確認して成長を実感する。時に亡くなった姿を目のあたりにして無念さが心に広がる。クワカブのブリードは人生の教訓、その中でも究極の死生観を学べる機会だと思う。
クワカブのブリードでは必ず死に遭遇する。軽くなり固まった種虫を手のひらに乗せ突き刺さる何が心を打つ経験をした人は私だけでないだろう。そして死の影には対局の命の誕生があったことを思い出す。ブリードにより生死が日常の一部になることで周囲の人々や自身への思いやりが育まれるのかもしれない。
核家族化が進んだ現代の日本では老いと死を日常生活で体験する機会が失われている。長寿大国であるから尚更だ。死生観はどこか歪んでしまってはいないだろうか。形あるものにはいつか終わりが来る。

一寸の虫にも五分の魂

「一寸の虫にも五分の魂」という諺がある様に日本人はクワカブから生きること、死ぬことを学べる素養がある。3世代前の「A」という個体があって目の前のこの幼虫がいる。人の寿命では体験できない高サイクルの世代交代から命のつながりを認識する。生死は一体であり時間軸を一塊になって転がっていくものではないだろうか。(吉虫)

第17回ブリードルーム

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