昆虫業界は中東の戦争が燃料やボトルが急騰するか憂慮している。世界の最果てにある筆者のデスクでは別の戦いが勃発している。それはAIとの論争である。きっかけは記号のみのデータを他の人が使うためAIの出力を確認している時だった。
火をつけたのは筆者自身で、AI独自のまとめを要求したためだった。AIは唐突にコストダウンの提案をした。オオクワガタの産卵は交尾済みのメスを小ケースに菌糸を詰めたSR(産卵ルーム)に3回移しながら行う。AIはその回数を減らせと指摘した。筆者が作業方法やSR2、3回目の爆産データ等を指摘して、理論的に理解できる所に導いた(図の左側)。AIは季節によりSR回数の減らし方にパターンがあると理解した。
実際の作業はプロンプトに入れてあった。しかし、AIは産卵データに固執して現実の作業が難しい提案を続ける。結局、筆者は対峙する角度からラリーをして、AIに作業との矛盾を理解させまとめるに至った(図の中央)。ちなみにコストダウンの試みは過去に行っておりSRを2回に減らしている。断念した理由は回数と関係なく結果が悪くなったからだった。AIは現実問題として頭数がいなければ継続できず、やむを得ず3回でやっていることを知らない(これもデータすべき情報!)。
「AIの結論と提言」(図の右側)は興味深いが疑念もある提案だ。血統別最適化はAIのデータ分析スピードを活用して今より進められるだろう。カワラ菌糸は爆産した実績があるが、幼虫育成の死亡率が高くなり断念した。産卵はカワラで、幼虫育成はオオヒラタケ系でという手もあるが、この先は幼虫の分解酵素に関わるので実験しないと答えがでない。
AIはデータと簡単なプロンプトで正解を出せると思ってないだろうか。AIは文脈の推論がまだ弱く「それっぽい事」を言う時がある。AIはまず精通している分野で、間違いの指摘や不足情報を提供して育てるしかない。AIは寝なくても良いが私はだめだ。この戦いは一旦停戦として、ここに途中経過を記す。(吉虫)

