ダーウィン

ブリードルーム

チャールズ・ダーウィンは世界で知名度が最も高い人物の一人である。ダーウィンという人物名は驚くべきことに「自然淘汰」や「進化論」と同義語のように扱われている。彼は人間の社会、存在意義にパラダイムシフトをもたらした。ブリードする一人としては、ダーウィンが何を考えたか、同時に何が乱用された用法なのか知る必要がある。

「進化」という言葉は日常化したためダーウィンが唱えた意味とかけ離れた用法が存在する。自然選択上の進化は「世代を超えて生物の形質が置き換わること」だけを言っている。「弱肉強食」、「賢い者が生き残る」、「変化した者だけが生き残る」は彼が言ったことでない。進化論が暴走する事例は人間社会やその競争、自己優位性に当てはめた場合だ。

「進化」とは三つの条件で定義されているに過ぎない。①集団の中で個体によって形質が異なり、②その違いが生存や繁殖の差をもたらし、③その形質が親から子へと遺伝する」。つまり、進化は発展とか劣化とか、有用か無用を語るものでない。また、自然淘汰は多数のパラメーターが存在する世界でランダムに進むものだ。

「進化論」が出たので、昆虫の起源も復習しておきたい。定説は六脚類(昆虫)が海から陸上したのが約四億年前のデボン紀。有翅昆虫は無翅昆虫から系統樹が分れたのが約三・五億年前とされていたが、最新研究で約四億年前とされている。研究は現代進行形で情報がアップデートされている。

なぜ、ダーウィンは創造論が主流の時代に「進化論」へ到達できたのか。筆者は「三現主義―現場・現物・現実」を実行したからだと考える。彼は世界一周の研究旅行をして、階級問わず交流、文通して情報収集をして、自らも植物、鳥類、土壌生物などの実験をやり続けた。彼は莫大の情報から「現実」のエッセンスを抽出する努力を惜しまず「自然淘汰による進化論」という「概念」に到達できたのだと思う。(吉虫)

タイトルとURLをコピーしました