ふりかえり

ブリードルーム

時は川の流れに例えられる。人の取り組みが単純に一本の川の様ならば、ふりかえりは簡単である。ブリードは前にしかけた虫が羽化する前から、次のペアリングを始めることがざらにある。時間軸が並行する中で、ふりかえりはいつやるべきだろうか。

クワカブ研究所は作業がひと段落する毎に時の流れを輪切りして評価をしている。ふりかえりの目的は問題と課題を明確にして改善につなげることだ。問題とは「あるべき姿」と現状のギャップのことを指す。一方で課題は「なりたい姿」と現状のギャップである。具体的な評価表は図に示してある。

オオクワガタは交尾から羽化、熟成まで一・五年のサイクルである。よって、作業毎の評価はタイムラグがあり、随時アップデートされていく。ひとつの作業が終わることにやる理由は、改善がタイムリーに行えれば可能な限り早い時期に結果につながるからだ。

●二○二二の評価が暫定的にも出せる項目ではA「なりたい姿」が多くみられる。平均サイズは毎年アップを実現できている。オス最大サイズの輩出は三年間更新されてないが、まだ半年あるの期待値を残している。
●幼虫数と二令幼虫の死亡率は、コロナ禍で奮闘した甲斐があり回復を遂げ、B「あるべき姿」以上を出している。「課題」解決のためデータを精査して改善方法につなげたい。
●「問題」が見つかった項目は三令幼虫の死亡率と羽化率だ。これらはブリードの最終段階、川下の作業で次のペアリングや幼虫割出とかぶる時期にあたり手薄になった。特に春シーズンに生まれた幼虫が多く死んでいる点に着目して改善の糸口を探したい。

ふりかえりは平行する時間軸の中で都度やるのが良いだろう。改善は川上の工程から進んでいく。ポイントはじっくりとデータと合わせて現物を観察すること。くれぐれも間違った改善方法に飛び付かないことだ。(吉虫)

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