締め切りは仕事が詰まっていても来る。有料契約をしたクロードは放置状態だった。人は追い込まれると進化するのである。それならば賢いと噂のクロードと念願だった血統表の作成をまとめてやってしまえ!
通常ならほぼ1日仕事になる血統の洗い出しは正味1時間ほどで完了した。まずは10数年分のエクセルファイルを整理もせず雑に放り込んでみた。指示は全体像を自身で把握させ、分からない部分を質問してもらう。クロードの質問は記号ルールや季節の定義が中心で血統グループの理解を含め、やり取り数回程度で終わる。呑み込みが早さ顕著だった。
本丸は血統表の作成とサイズアップした80ミリ超えのオスに共通する祖先はいるかの2点である。返信は明確で過去の80ミリ超え54ケースの7割に、1個体のTM0119が血統に含まれていた。さらに6代前まで辿ると、仕入元2社と能勢YGという3つの源流に収斂する。長年のサイズ選抜が、気づけばこの3血統の濃縮に向かって走っていたのである。
図の血統は2025年最大記録T4697SR1M820(82㎜)の6代血統表である。126個体の祖先のうち、25個ものクロスが検出された濃縮設計である。最多はTM0119で3回。自身は65ミリの凡庸な虫だが、父方にも母方にも血を入れている隠れた功労者だ。続く2回クロスの中には、3代前に二度登場するT1319(77.5㎜)とT1554(79㎜)、唯一80ミリ級の源流TM0257(能勢YG・82㎜)の名もある。大型オス同士で父方と母方それぞれを独立に濃縮し、最後に掛け合わせる。そういう設計が4代前から仕込まれていた。
AI+ブリードは、遡るだけでは終わらない。来期のペアリングで、どのオスとどのメスを組めば80ミリが期待できるかを、過去の系譜から予測させることができる。勘と経験に頼ってきた判断に、数千件のデータの裏打ちが加わる。虫の設計図を読み、次の一手を選ぶ時代になったのだ。ブリードは、クロードくんと共に新しい章へ入るだろう。(吉虫)
グロードくん、本当に賢かった
ブリードルーム
