形状遺伝のファーストアプローチ

ブリードルーム

知的好奇心を掻き立てる形状遺伝へファーストアプローチ

やりたがったが手間がかかるので、やらなかった事がある。オオクガタの父と子の写真を並べ、どの形状が遺伝されるかを確かめる事だ。形状遺伝の分析は、気の遠くなる程の時間と作業量を要する一方で、知的好奇心を駆り立てる。この試みは初めたばかりなので、一つの仮説と捉えたい。

「T1879」というファミリーは、曾祖父と曾祖母にオス50.0㎜とメス34.0㎜のペアが含まれながら、現時点で79.0㎜の個体を2頭輩出している。曾祖父母の世代は、能勢、阿古谷、久留米、佐賀という有名産地が並ぶ。また、父「T1319」は2017年ブリードで自社血統の種虫のうち2番に大きい個体であった。

今回は「T1879」の中で最大化した79.0㎜の2頭と父「T1319」の形状を比較した。サイズは、大腮(おおあご)とそれより下部に二分して計測し、横幅を前胸背版の最大幅で測った。対比の結果、大腮より下【前胸背版から上翅(じょうし)最後尾】の形状は父から引き継がれたと推定できる。一方、大腮は父とは違う形状を示し、母方の影響を秘めている。

今回は撮影、画像作成と分析を重ね、一番整合性が取れたものをリリースした。形状の分析方法は、試行錯誤の上、今回使ったサイズ比較に至った。これからはサンプル数を増やし多角的な分析が求められる。遺伝は確率の世界であり、まずファーストアプローチで出た仮説の是非を確かめたい。(吉虫)

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