死亡に関する集計Ⅰ

ブリードルーム

~オオクワガタ成虫の生死~

新型コロナウィルスは、人類に病と死の問題を突き付けた。昆虫の生死に日々向き合うクワカブ研究所は、今こそ虫たちの生死を語る時と考えた。今回は成虫の生死を、過去七年分のデータで見ていきたい。集計対象は、交尾をさせたオスとメスで、まず寿命をヒストグラムにまとめてみた。

死亡比率は性別に関わらず羽化直後に高いが、その後、オスとメスで違う推移を辿る。メスの死亡比率は、産卵を終了した個体が増える九カ月後から急上昇する。メスは産卵と死が関連しているようだ。一方でオスの死亡比率は、交尾時期との関係性がみられず、羽化直後に最も多く、時間軸と反比例している。

オスとメスの生存率が並ぶ時期は、羽化後一年半を超えてからで、二年を過ぎると生存率に逆転現象が起きている。最も長生きをした個体はメスで三・五年だったが、オスも三・二年生きた個体がいるので、性別による差があると言えない。

この集計結果は、春夏秋に二二~二五度の部屋に滞在、冬に五~十度で冬眠させた虫のデータである。この数値は、別飼育環境、又は自然環境を代表しているものでない。しかし、メスの産卵と死亡の関係や、オスの死亡推移は、今後の研究になるだけでなく、精度の高いブリード計画にも活かせる材料になる。

最後にもう一つの仮説「死亡率は冬眠中に上昇する」を検証してみた。

結果は仮説を否定するものとなった。冬眠明け後の生死確認をする三、四月の死亡比率は一年を通してみても低く、四~六月が四半期毎の死亡比率で最少期となっている。死亡比率が高くなる時期は、八月から十月であった。死亡原因は、活動量と接触量の関係か、季節性の要因なのか、飼育方法、又はそれに伴う問題点に起因するのか、今後の検証が必要である。(吉虫)

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