~「ImageJ」を初体験~
日本はIT化が遅れているとコロナ禍で痛感した。行政は脱アナログできない姿を浮き彫りにした。自分はどうだろうか?ウィルスの写真はどのソフトで加工されているか、調べると生物学で使われる「ImageJ」というフリーソフトに辿り着いた。このソフトは、オオクワガタ形状分析に使えそうだ。
昨年の東京実験プロジェクトは、変形個体が形状遺伝するか調べた。この個体(T1963SR2M710―7)は、以前の記事にも書いたもので、盛り上った前頭と前胸背板の間にクビレがあった。今年羽化した頭数は、オス五頭、メス五頭だった。
メスは、目視検査で正常に羽化したと確認できた。オスは、写真撮影、ソフトでエッジ処理、コントラスト調整を行い、形状をピクセルサイズで比較した。分かった事は二点あった。一点目は父の変形はそのまま引き継がれなかったこと、二点目は、羽化したオス五頭が三種類の形状に分類できたことだった。
図の子A型は、リングレンズで反射した光沢が逆三角形になるアゴが強調された個体群だった。子A型は、最も父に近い形状で、前頭と前胸背板の比率が一対一に近い形状だった。子B型は、前頭が前胸背板に対して0.95±0.15と、スマートタイプな見た目だった。子C型は、0.92±0.15で前頭から前胸背板が立体的に丸みを帯び、ボリューム感のある形状だった。
同一ペアから羽化したオス個体は、なぜ複数タイプの形状で産まれるのか考察した。実は、昨年まで行った実験でも同じ結果が出ていた。組み立てた仮説は、オオクワガタの繁殖戦略のひとつで、一つの形状が繁殖に不利になっても、別の形状が遺伝子を次世代へ繋ぐことができる理論だ。今回、「ImageJ」の扱いは初心者レベルだったが、今後はレベルアップして形状遺伝の分析精度を上げていきたい。(吉虫)