月夜野きのこ園ブリードルームでは、月夜野きのこ園での昆虫の飼育や産卵などについてを発信していきたいと思います。第11回は猛暑の中での幼虫についてです。
温度が与える影響
自らの熱中症より孵化したての幼虫が気になる。そんなブリーダーも少なくないだろう。今回は通年二十五度に管理されているブリードルームの話でない。温度制御をしていないマンション一室だ。菌床産卵中に気になる二つの現象が出ていた。
一つ目は猛暑日が続き始めた頃から種虫のメスが死亡し始めた。温度帯は三十度から三十五度だった。二十五度から三十度だった頃は一頭も死んでいない。過酷な環境下での産卵は想像以上に消耗するのかもしれない。
猛暑の中の幼虫
もう一つ気になる現象は二齢幼虫が屍を見付けたことだった。黒く朽ちかけた様子から死亡時期は八日連続の猛暑日に重なる。菌床産卵で一般的な死亡事例は体質の弱い初齢幼虫の死亡だ。孵化直後に息絶えて菌糸と同化し屍骸を見る事は滅多になかった。
さて、これから割出す幼虫はどうだろう?今まで語った幼虫より長い期間を過酷な環境下で過ごした個体たちだ。死亡率が上がるのだろうか?割出数も減るのだろうか?一筋の期待は遺伝的多様性から猛暑の中でも順調に育つ個体だ。妄想だが温暖化の進む日本に新たなオオクワガタの猛暑血統ができるかもしれない。