昆虫プラモとの遭遇

ブリードルーム

クワガタの魅力は何だろう。やはり、目を惹く点はコンチュウ目中で胴体から前へ突き出る顎でないか。顎の形状はクワガタ科として種によって違う点も魅力だ。先日、「ノコギリクワガタのプラモがある」と聞き、お願いしてサンプルを入手してもらった。

商品はフィギユアで知られるエムアイシー社のプリプラというシリーズだった。特徴は国内で設計、金型、生産、塗装まで行われる点だ。なにせ接着剤、塗装不要なので不器用な人も気軽に手を出せるプラモデル。調べると昆虫プラモはフジミ模型でも発売されている。価格はプリプラのほう安かった。

フィギュアとかプラモデルとか縁遠い生活をしていた筆者は不器用なので綺麗に作れるか不安だった。「なるほど、間違ったところに肢がはまらないように作られているのか。…接着も塗装もしなくていいから簡単だ。」プラモは数分で完成した。

完成後、記事のために撮影を行った。「このクオリティならジオラマもいけそうだ。」それから、ノコギリクワガタの生体と一緒に撮影をしてみた。「色は違うがどちらが本物か分からない(笑)」たぶん、リアルさはプリプラのインクジェット塗装がプラスチック感を打ち消す作用をしているからだろう。

普段からリアルな昆虫と過ごす筆者はなぜ模型が必要かを考察してみた。物理的なコレクションは人類が執着する分野のひとつである。標本は死後も個体を保存するための手法で学術的な研究にも使われる。一方で、フィギュアやプラモは無機質ながらリアルさを求めた物理サンプルとも言え、形状そのものを愛でるための産物であろう。

数日間、思考を繰り返したが、昆虫模型の意味は見つけられなかった。ひとつ言えることは好きに楽しめば良いということだった。実際にノコギリクワガタ模型を部屋に置くとテンションが上がる。(吉虫)

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