絶対やっちゃいけないこと~失敗からの教訓

ブリードルーム

凡人は頭では分かっていても、反することをしてしまう。論理的に頭で分かることはできることと違う。失敗は向き合うほどに重く教訓として残る。ブリードは本来自由だが、絶望的なダメージを生まないため、絶対やっちゃいけないことがある。

ブリード方法を変更する時に重要なことは比率である。つまり、変更は段階的であるべきで一気にやらない。一○○%変更は悪手であれば全滅に近いダメージになる。事前に実験を繰り返したとしても、実験は規模が小さいため再現性が必ずしも担保されない。新しい試みは比率を小さければ失敗時のダメージが最小限に抑えられ、方向転換し易くなる。

次に重要なことはサイクルの長さに対する理解だ。サイクルは長い程、数年先までダメージが残り続ける。オオクワガタのペアリングは計画と種虫準備が早いと前年から始まり、翌年にペアリング、さらに翌年に羽化、熟成させている間に冬眠と、実際に次の世代につなげるために二~三年かかる。また、翌年のペアリングは前年に生まれた幼虫の羽化と同じか後にずれ込むため、失敗に気付いても手を打てない。影響は最長で四年後に及ぶ。

具体的な話をすると、はじまりは二○二○年に爆産とサイズアップを期待して実験をしたことだ。二年間、実験がたまたま成功したため、二○二二年のペアリングからは全て新しい方法に切り替えた。結果は死亡率が致命的に高くサイズダウンも顕著だった。二○二三年末より元の方法に戻し今は順調た。しかし、今年と来年は種虫不足との戦いとなる。

先人は「急がば回れ」とよく言ったものだ。筆者も他人にはよく言っていたが、身を持って理解してなかった。今思えば、少々面倒だが、まずは全体の三割、それが成功したら次に六割と比率を段々と上げていくべきだった。教訓はたまたま上手く行った事で得た自信がいかに恐ろしいものかということだ。(吉虫)

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