月夜野きのこ園ブリードルームでは、月夜野きのこ園での昆虫の飼育や産卵などについてを発信していきたいと思います。第30回は「オオクワガタ・選抜方式の途中経過その1」についてです。
親虫の選抜による大型化
数世代に渡る実験をするのには時間がかかる。2012年に始めたオオクワガタの大量ブリードは、今年で6年目を迎え3世代目に入っている。選抜方式で、サイズ上位の羽化虫を次のブリードに回している。2016年の羽化で当初の目標だった、オスのサイズ平均70mm以上を達成できた。
親虫以外の大型化要因
1年目に交尾、2年目に羽化、冬眠を経て3年目に次世代のブリードへ続く。そのため、1年目と2年目のブリードは別グループの種虫を使うことになる。AとBのグループに分け結果をみると、先行したAグループに比べBグループの方が上手くいってる。(表1)
Aグループは1年目で大き目の種虫を確保できたが、予算の都合で1年目の後半から小型の種虫になり、Bグループの種虫平均サイズはさらに小さくなっている。それにも関らずBグループが2世代目でAグループを上回っている。それには理由がある。
先行するAグループが実験台となり、Bグループに改善された方法で行われるためだ。選抜方式でサイズアップさせるには、種虫サイズの要因以外にも、計画組立や管理方法が重要になる。大量ブリード、人工的な環境ならではのノウハウが求められる。飼育・環境データの分析と温湿度の管理には工夫が必要だ。(吉虫)