羽化のズレ、その正体とは?

ブリードルーム

人の考えは千差万別。昆虫ブリードは経験則ベースの職人の世界だ。生物の解析はデータの母数が重要で、パラメーターが多いことが統計学的な分析が難しい分野だ。筆者の周りでは羽化ズレがペアを組む際に問題なのか?という点が話題になる。
羽化日とペアリングの関係は人により言いたいことが違う。一つは同一のペアでの羽化時期のズレで、もう一つは別の親から生まれたオスとメスの羽化時期である。クワカブ研究所には過去10年以上のデータがあり統計学的分析が可能である。データは一般的なブリードに寄せるため、春ブリード(3月~6月中旬)を対象とする。
統計解析は2,021ペアのデータで行う。まず同一の親から生まれた個体は平均60日の差が出る。メスは平均で18日早く生まれ、大きな個体は平均より遅く生まれる。ブリードは大型個体が求められ、羽化ズレは分析により許容されるとAIは結論づけている。
次は別の親から生まれたオスとメスが羽化日(実際は発見日)のズレと幼虫数でどのような統計的関係性があるかだ。幼虫数は羽化日のズレが1週間で14.5頭、1カ月で13.7頭、1~3カ月で14.1頭、3~6カ月で12.4頭、6カ月超で11.3頭と徐々に減少しているように見えるが、統計的に明確な差とはいえないとAIが結論付ける。
ここで生まれた疑問は日齢の変化でないかという点だ。AIが日齢の影響を補正するため、偏相関で解析し、結論は羽化日のズレより日齢が重要だと統計学的に結論付けた。日齢の古さは r=−0.200(p<10⁻¹⁹)という明確な傾向を示す数字で結論を出している。
つまり羽化日のズレを気にするより、ブリード個体は熟成6カ月後に早く使うことを推奨している。では、AIの分析はどの時点でペアリングを見切るとよいと言うか。それは月齢18カ月超だと指摘する。今回の結論は感覚を超えた理解だが、どこかしっくり来るので、検証を進め、来年から年間計画を大幅に変更してみたい。
(吉虫)

 

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