月夜野きのこ園ブリードルームでは、月夜野きのこ園での昆虫の飼育や産卵などについてを発信していきたいと思います。第41回は「幼虫死亡率の上昇!原因は?」についてです。
冬将軍の到来
連日のように天気予報は日本海側の大雪を報じている。みなかみ町は、谷川連峰を隔て新潟県に接しており、低温状態が続いている。昨年の初夏から今年の冬にかけて、気候は近年にない動きをみせている。今シーズンは東京マンション・ブリード実験でも例年にない数字が出ている。
幼虫飼育における温度の影響
この実験は、東京のマンションで温度管理をせずにブリードして、どの様な状況で問題が発生するか調べるものである。二〇一七年の夏は幼虫死亡率が過去三年で最高を記録している。羽化率は八〇%を基準とすると、孵化から三令幼虫に達するまでの期で、すでに死亡許容範囲の二〇%を超えている。
電子的に記録している月別平均室温は、過去三年の比較で二〇一七年七月が全体の過去最高になっている。ペアリングを五月末に行ったので、七月は三令幼虫へ育つ期間だったと言える。また、幼虫死亡率が二〇一七年次いで高い二〇一五年は、七、八月の月別平均室温が三〇度越えをしている。幼虫死亡率増加の原因は、一令から三令幼虫に過剰に温度がかかることにあるのかもしれない。
温度計の値は、必ずしも危険温度域の絶対値ではない。なぜなら、ペアリングしている場所は、温度計から高さにして最大一メートル程度、距離にして最大三メートル程度離れているからだ。この環境に限って言えば、孵化後二カ月以内は、平均室温三一度を越える高温状態は幼虫に何らかのダメージを与えている。夏の冷却は幼虫の健康にとって重要なファクターなのであろう。(吉虫)