平均の中身となぜ5回

ブリードルーム

昨年半ばまで、クワカブ研究所は二〇一二年に設定したオオクワガタ・オスの「継代後の目標平均サイズ七五ミリ以上」を超えようとしていた。しかし、年次集計の結果は七二・〇ミリとサイズダウンだった。中央値は七三・五ミリと平均よりも大きく出た。今回は平均値を掘り下げる必要性について書く。

グラフは抽象的な値や感覚を可視化できる。時系列の散布図は二三年の後半にサイズダウンしている様子を示す。次にヒストグラムの山はサイズが大きい方にカタヨリがあると示す。これは中央値が平均値よりも大きい理由を明示している。

ヒストグラムは目を凝らして見るものだ。山は大きなピークだけでなく、もう一つ小さいサイズ側に潜んでいる。これは別の群が存在していることを暗示している。ここで必要なことは「なぜ五回」―原因追及の基本で「なぜ、なぜ」と深く掘り下げる手法だ。
まずは平均値の中身を考えうるカテゴリに分類、集計する。クワカブ研究所では春と秋の統計上産卵数が増える時期にブリードをする。二一年秋と二二年春のペアリングは七五ミリを超えている。しかし、二二年秋は散布図の通り平均値が六六ミリ台に落ちている。

もう二回の「なぜ」は寄り道しながらでも掘り下げる。有名産地血統の平均サイズは秋ペアリングだっただけに、六六ミリを中心に分布している。秋を回顧すると、菌糸ビンはオオヒラタケ系からカワラに変更された。菌糸ビン二種の平均値は春と秋ペアリングと同様の差異を示している。

平均値から「なぜ」を繰り返した結果は菌糸ビンの変更がサイズダウンの要因と示す。もう一回「なぜ」と思考すると、カワラの管理方法はオオヒラタケ系と同じでだめだということだ。この続きは次回の記事で書くが、平均という値は「なぜ五回」との組み合わせで、はじめて論理的に問題点の整理整頓に役立つ。(吉虫)

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